腰痛についての治療や予防について解説|八木整形外科

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腰痛についての治療や予防について解説|八木整形外科

腰痛

腰痛について

腰痛は、日常生活での動作や姿勢、スポーツ活動中などにおいて、腰部に生じる不快な痛みや違和感を指します。腰は体の中心部として重要な役割を担い、上半身の重さを支えたり、立ったり座ったりといった基本的な動作をサポートしています。このため、腰にかかる負担は少なくありません。

整形外科疾患の中でも腰痛の有病率は高く、男性の1位、女性の2位を占めます。そのため、腰痛を経験する方は非常に多く、一生涯で約70-85%%の方が経験すると言われています。

発症からの期間で病期が分かれ、4週未満を急性腰痛(ぎっくり腰)、4週間以上3か月未満を亜急性腰痛, 3か月以上は慢性腰痛を定義されます。

整形外科専門医としての診療では、患者様の腰痛の原因や背景をしっかりと捉え、最適な治療を提案し。慢性化に移行しないような治療を心がけています。また、患者様の気持ちに配慮した診察を行い、患者様自身も腰痛に関する知識を深められるような情報提供を行っています。

腰痛は、その原因や背景、体の状態によって治療法やアプローチが変わります。そのため、腰痛を感じたときは、早めの受診と専門的なアドバイスを受けることが大切です。

腰痛の原因

腰痛の原因は多岐にわたり、体の構造的な要因から生活習慣までさまざまな要因が絡み合っています。以下に、一般的な腰痛の主な原因を挙げます。

筋肉・靭帯の損傷

運動や重い物の持ち上げ、突然の動作によって、腰の筋肉や靭帯が過度に伸ばされることで、筋肉や靭帯が損傷することがあります。

椎間板の問題

椎間板ヘルニアや椎間板変性症など、脊椎の間にある椎間板の異常は、腰痛の一般的な原因となります。

骨の異常

脊柱側彎症などの脊椎の形状異常や、骨粗しょう症による圧迫骨折は腰痛を引き起こす要因となります。

関節の問題

腰の関節(椎間関節や仙腸関節)の変性や炎症は腰の動きを制限し、痛みを引き起こすことがあります。

感染症や腫瘍

稀ではありますが、腰の骨や椎間板への感染や腫瘍も腰痛の原因となることがあります。

生活習慣

長時間の座りっぱなしや不適切な姿勢、過度の体重、ストレスや精神的な要因も腰痛のリスクを増加させます。

腰痛の診断

腰痛の診断は、患者様の症状や身体的所見から始まり、必要に応じてさまざまな診断手法が利用されます。以下に、腰痛の診断の一般的な手順と診断ツールを説明します。

問診

まず、痛みの開始時期、痛みの性質、痛みの位置や放散する場所、過去の腰痛の経験、患者様の日常生活や職業、関連する活動や事象などを詳しく聞き取ります。

身体診察

疼痛部位の確認や、神経学的な評価、筋肉や関節の柔軟性等を確認します。

放射線検査

X線を用いて、脊椎の構造的な異常や骨折、関節の変性などを確認します。

MRI

MRI検査では椎間板、神経(脊髄、神経根)、腰回りの軟部組織(筋肉、靱帯)を評価することができ、椎間板ヘルニアや腫瘍、感染症などの診断に役立ちます。

骨密度測定

骨粗しょう症のリスクを評価するためのテストです。

超音波検査

場合によっては超音波検査を行い、超音波ガイド下の注射(ハイドロリリース)を行うことで、診断的治療を実施する場合があります。

腰痛の治療

腰痛の治療は、腰痛の原因や症状の程度、患者様のライフスタイルによって異なります。それぞれの症状に合わせて治療を組みわせて行っていくことが重要です。以下には一般的な腰痛の治療法を紹介いたします。

保存的治療

安静

激しい痛みの際は、一時的に安静にすることで痛みが軽減される場合もありますが、基本的には過度の安静は推奨されていません。消炎鎮痛剤などで急性期の痛みを改善させた後は、痛みの範囲で元の生活に戻っていくことが重要です。

薬物療法

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs: ロキソニン®︎、セレコックス®︎、ボルタレン®︎)やアセトアミノフェン(カロナール®︎)などの鎮痛剤が使用されます。状態によって筋弛緩剤(ミオナール®︎、)などを併用します。

注射療法

トリガーポイント注射 痛みを感じる箇所に局所麻酔薬などを注射します。
ハイドロリリース(筋膜リリース) 当院では医師の診察後に痛みの原因と考えられる組織に対して、超音波ガイド下に注射を行い、鎮痛を図る手技を取り入れています。
硬膜外注射(ブロック) 主に脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアに伴う腰部から臀部の痛みに対して、硬膜外に局所麻酔薬とステロイド剤を混ぜたものを注射する手技です。

物理療法

一般的に温熱療法や牽引療法は、局所の循環改善効果と、椎間板及び椎間関節のストレッチ効果を期待することができ腰痛のコントロールに役立ちます。運動療法と組み合わせると効果的です。

筋力強化や柔軟性向上を目指すエクササイズが含まれます。専門家と共に適切なエクササイズプログラムを計画します。

運動療法

不自然の姿勢や日常生活習慣が腰痛のトリガーとなっている方が多く、治療・予防の双方の面で運動療法は重要です。痛みの原因はそれぞれ異なるので、オーダーメイドの治療プログラムを医師とセラピストと相談しながら作成していきます。

手術療法

腰痛が続き、日常生活に支障をきたしている場合は、手術が必要となる場合もあります。例えば、椎間板ヘルニアや脊柱変性後側弯症といった病態で考えられます。

腰痛の予防

腰痛は一度発生すると再発が多いため、その予防策は非常に重要です。以下に腰痛の予防方法をいくつか紹介します。

適切な体の使い方

姿勢の維持

長時間の同じ姿勢は腰に負担をかけるため、避けることが大事であり、適宜腰痛防止のエクササイズを行うことが大事です。

持ち物の正しい持ち方

重い物を持ち上げるときは、片膝を曲げて腰を低くして、背中をまっすぐに保ちながらおへその近くで持ち上げることが推奨されます。

体力の維持と強化

適度な運動

正しい姿勢でのウオーキングやエアロバイク運動、水中運動は有酸素運動による内因性物質の活性化を期待でき、腰痛の予防に役立ちます。

筋力トレーニング

特に腹筋(腹横筋)や背筋などを強化するエクササイズは、腰痛の再発防止に役立ちます。

ストレッチ

特にハムストリングス(太ももの裏側の筋肉)のストレッチは腰痛の再発予防に役立ちます。

生活習慣の見直し

体重の管理

過度な体重は腰に負担をかけるため、健康的な体重を維持することが推奨されます。

ストレスの緩和 ストレスは筋肉の緊張を引き起こし、姿勢異常へと繋がる可能性が高いため、リラックスする時間を確保することが大切です。

適切な寝具の選択

寝心地の良いマットレスやピローの選択は、腰への負担を軽減し、快適な睡眠をサポートします。

定期的な健康診断

早期に腰痛の原因を特定し、専門医の適切な治療やアドバイスを受けることで、重度の腰痛のリスクを減少させることができます。

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