肩関節外科とは?|八木整形外科|武蔵野市武蔵境

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肩関節外科

肩関節外科とは?|八木整形外科|武蔵野市武蔵境

肩関節外科とは?

肩関節外科とは整形外科の中の一つの分野で、上腕骨頭と肩甲骨関節窩からなる肩関節に生じる病気を取り扱います。肩関節は1960年代には忘れられた関節(forgotten joint)とも呼ばれ、他の領域と比べその研究が遅れていた領域ですが、MRI検査、超音波検査、関節鏡治療の進歩と共に近年急速にその治療法が発展している分野です。

肩関節外科医の役割

肩関節外科医は肩関節の治療について深い知識と経験を持っています。
肩関節は人体の中で最大の可動域を有するがゆえに、不安定性も有しており、一度バランスが崩れると痛みが生じます。肩関節外科医は専門的な知識を用いて丁寧に診察し、各種検査を組み合わせることで痛みが出現している病態を見極め、治療へと導いていきます。

武蔵境、八木整形外科での
肩関節外科について

当院では肩関節が専門の副院長が診察を担当しています。
肩関節の痛みでお困りの方や、長引く肩痛でお困りの方はぜひお気軽にご来院ください。

肩関節周囲炎

通称「四十肩」「五十肩」とも言われる事があり、肩が上がらない、後ろに手を回せず下着をつけることが出来ないといった症状が代表的なものになります。
明らかなケガやきっかけがなく痛みが発生し、肩の可動範囲が狭くなる疾患で、他に凍結肩や肩関節拘縮と呼ばれることもあります。一般的に使用される「五十肩」の語源は江戸時代に発行された辞典「俚言集覧」の一説に、「およそ人五十歳ばかりの時、手、腕、骨節痛むことあり、ほど過ぎれば薬せずして癒ゆるものなり、俗にこれを五十腕とも五十肩ともいう、また長命病という」といった文章があり、江戸時代から同じ症状に悩まされていた患者様がいた事がわかります。40代から50代の中高年の方を中心に多く見られますが、場合によってはもっと若年の方やご年配の方にも発生することがあります。よく見られる病気ですが、肩の痛みというだけで肩関節周囲炎とひとくくりにされてしまう事があります。肩関節周囲炎以外の肩の痛みには個別に以下のような病態が隠れている事があり、一つ一つ鑑別して診断して行くことが大切になります。

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石灰沈着性腱板炎

石灰沈着性腱板炎は、肩の腱板の一部に石灰が沈着し、それが原因で炎症を起こす疾患です。石灰の沈着原因は明確には分かっていませんが、腱の繰り返しの微小損傷や血流の低下が関与していると考えられます。

主な症状

  • 肩の急激な痛み
  • 腕を動かすと痛みが強まる
  • 夜間の痛みや寝返り時の痛み

診断は、身体診察後にレントゲン撮影を実施し確定します。治療としては、消炎鎮痛薬の投与を行い、痛みが強い場合には超音波ガイド下に石灰の吸引を試み、同部位に局所麻酔薬とステロイド剤を注射します。
痛みの再発を繰り返し、疼痛のため日常生活に支障が出現する場合は鏡視下石灰摘出術等の手術加療が行われる事があります。また保険適応ではありませんが、体外衝撃波治療が石灰の消失に有効であったという報告があります。

腱板断裂

腱板とは肩関節周囲にあるインナーマッスルで、棘上筋腱、棘下筋腱、肩甲下筋腱、小円筋腱の4つがあり、それぞれが協調して動くことでスムーズな肩の動きに役立っています。腱板断裂は、その腱群の一部もしくは全体が断裂してしまう状態を指します。肩の上方にある棘上筋が最も断裂しやすく、断裂すると肩の挙上時の痛みや可動域制限につながります。四十肩・五十肩と言われている方の中にこの疾患が隠れていることがあり、一度の外傷(転倒等)で肩が上がらなくなった方や高齢者の方は注意が必要です。

主な症状

  • 動作時の肩の痛みや就眠時の肩の痛み
  • 肩が上にあがらない、力が入らない
  • 寝返りがうてない、痛い方の肩を下にして眠れない、着替えができない

診断は身体診察と各種徒手検査(NeerやHawkinsのインピンジメントテスト:Lift off test, Belly press test)を行った後に、レントゲン検査、超音波検査、MRI検査を通じて腱板の状態を確認します。

治療法は中高年の方の変性(加齢)を基盤とした腱板断裂に対しては主に保存的治療を行います。消炎鎮痛薬の投与や、炎症を起こしている組織に消炎鎮痛薬やステロイド剤を超音波ガイド下に局注して炎症を抑えます。また多くの方で痛みや炎症により肩甲骨周囲や体幹筋群の機能が低下しているので、運動器リハビリテーションを行い、その機能を高めて肩関節の可動域向上を目指します。

若年者の方の腱板断裂や一度の外傷を契機とした外傷性腱板断裂は手術適応となる事が多いです。慢性的に続く肩の痛みでお困りの方は一度専門医による診察をお勧めします。

肩関節脱臼

肩関節脱臼は、上腕骨頭が肩甲骨関節窩から外れる状態を指します。肩関節は広い可動域がある反面、他の関節と比較し、安定性が低く、肩関節の外転・外旋位を強制されるような強い衝撃で脱臼してしまう事があります。

20歳以下で肩関節脱臼を生じた場合は高確率(80〜90%)で反復性に移行する事が知られています。

主な症状

  • 強い肩の痛みと変形
  • 肩を自分で動かすことが困難

診断は身体診察とレントゲン撮影を行うことによって診断します。診断後速やかに、愛護的に徒手整復を行い脱臼を整復します。

繰り返す反復性肩関節脱臼の方や、高齢者の脱臼の方は、整復後にMRIも撮影し、肩関節唇損傷や腱板断裂等の合併症が生じていないかチェックします。

手術治療はご本人の生活スタイル、職業、利き手、スポーツ歴等の情報を総合的に判断して行われます。鏡視下関節唇形成術(Bankart修復術)が一般的ですが、アメリカンフットボール選手や元々身体が柔らかい方に対しては、烏口突起移行術(Bristow法、Latarjet法)や関節包縫縮術等の追加手術が必要になる事があります。

野球肩(投球障害肩)

投球は肩関節にとって、日常生活動作を逸脱した動きであり、投球時には肩関節に大きな負担が生じます。そのため、コンディションの不良や不正確なフォームでの連続した投球で肩の痛みを発症する事があり野球肩と呼ばれます。
投球動作はワインドアップ期、コッキング期、加速期、減速期、フォロースルー期の5つのフェイズからなり、障害はコッキング期後期から加速期終期のボールリリース時に生じる事が多く、その際の過度の外旋位からの内旋(ハイパーアンギュレーション)を避ける事が重要です。

診断は診察診察と各種徒手検査(O’ brien test, HERT test等)を組み合わせることで行い、レントゲン検査や超音波検査、MRI検査を補助的に用います。小中学生の骨端線閉鎖前の障害の一種であるリトルリーガーズショルダーでは骨端線の離開が認められるため、レントゲン検査が診断に有用です。治療は保存治療が基本です。疼痛の急性期は投球を禁止し、局所の安静を図ります。同時にこの時期に痛みの原因となっている他部位の機能障害に対してリハビリテーション介入を行います。疼痛が軽くなった時点で、シャドーピッチング等から開始し、開始後も痛みの再発がなければ、ネットスロー、塁間程度のキャッチボール等というように徐々に投球の強度を上げていきます。途中で疼痛が再発するようであれば、再度身体機能の評価を行い、運動療法による治療を継続します。

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