骨粗しょう症予防に有効な食事や薬を解説|八木整形外科|武蔵野市武蔵境

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骨粗しょう症

骨粗しょう症予防に有効な食事や薬を解説|八木整形外科|武蔵野市武蔵境

骨粗しょう症とは?

骨粗しょう症とは?

骨検®

骨粗しょう症は、骨密度が低下し、骨がもろくなってしまう状態を指します。この状態は、骨の量が減少するとともに、骨の構造自体が劣化し、結果として骨折リスクが高まります。高齢者に多く見られ、特に女性に多く発症します。
骨は私たちの体で非常に基本的な役割を果たしています。それは、体を支え、内臓を守り、さまざまな動作を可能にするとともに、カルシウムなどのミネラルを蓄える貯金箱のような役割も果たしています。年齢を重ねるにつれて、骨は自然と少しずつ弱くなっていきますが、骨粗しょう症はそのプロセスが通常よりも急速に進む場合に発症します。
骨密度は20歳ごろにピークをむかえ、50歳ごろから低下し始めます。高齢者の骨折は寝たきりの原因となるため、骨折予防が非常に重要です。

武蔵境、八木整形外科の骨粗しょう症治療について

最初に患者様の診察(過去の骨折歴やご家族の骨折歴の確認)をします。
その後、骨密度の計測、レントゲン撮影、血液検査、尿検査などを行うことで、詳しい状態を確認します。これらの検査結果をもとに、的確な診断を下します。
骨折や変形性関節症で来院された方も、骨粗しょう症の可能性を考慮し、患者様と相談の上、精査を進めていきます。

骨粗しょう症の初期症状とその特徴

骨粗しょう症の初期症状とその特徴

骨粗しょう症は初期段階では特有の症状が現れないことが特徴です。初期の段階では痛みもなく、骨がもろくなっていると実感できないため、自覚症状がほとんどありません。しかし、進行すると、次第に様々な体のサインが表れ始めます。

症状として出現するものには以下のような状態があります。

背中や腰が曲がる(猫背)

骨折の影響で背骨が曲がってしまい、猫背になることがあります。

身長が縮む

脆くなった背骨が骨折(圧迫骨折)し、次第に身長が低くなっていくことがあります。

背中や腰の痛み

軽微なケガ(重たい物をもった、尻餅をついた等)を契機に、もろくなった背骨が骨折し(圧迫骨折)、背中の痛みとして感じることがあります。

骨折

軽い衝撃や負荷で骨折を起こすことも骨粗しょう症の兆候とされています。
骨折の種類には、腰骨の骨折(脊椎圧迫骨折)、股関節の骨折(大腿骨近位部骨折)、手首の骨折(橈骨遠位端骨折)、腕の付け根(肩)の骨折(上腕骨近位端骨折)があり、特に腰や股関節の骨折は、介護が必要な状態や寝たきりになるリスクもあり、その予防が重要です。

骨粗しょう症の初期症状とその特徴

骨粗しょう症の症状とは?重症化した場合のリスク

骨粗しょう症が進行し、症状が明らかになる段階になると、様々な体への影響が表れます。特に高齢者の場合、骨のもろさからくるさまざまなリスクが高まります。

骨粗しょう症の症状とは?重症化した場合のリスク
頻繁な骨折

骨の密度が低下し、非常にもろくなってしまうため、日常生活の中でのちょっとした事故や転倒でも骨折を起こしやすくなります。過去に背骨の骨折をしている人はそうでない人と比べて5倍も新たな背骨の骨折をしやすいという報告もあり、骨折の連鎖を防ぐことが非常に重要です。

姿勢の変化

脊骨が骨折を起こすことで、背が曲がり(猫背)、身長が減少します。そのことが不安定な歩行や転倒リスクの増加に繋がり、さらなる骨折のリスクを高める悪循環を生み出す可能性があります。

慢性的な痛み

骨の脆さが原因の背骨の骨折等は治癒したとしても、痛みが残ることがあります。これが慢性的な痛みへと繋がり、日常生活に支障をきたすことがあります。

身体機能の低下

骨折を繰り返すことで歩行が困難になり、最終的に車椅子やベッド上の生活への移行を余儀なくされることもあります。

内科的影響

背骨が骨折し、曲がってしまうことで、胸焼けや食事が喉を通らないといった、逆流性食道炎の症状をきたすことがあります。

精神的影響

慢性的な痛みや身体的な制約からくるストレス、また外出機会の減少は、認知症やうつ病を引き起こすリスクとなります。

骨粗しょう症の原因とは?

骨粗しょう症の原因とは?

骨粗しょう症は様々な要因によって引き起こされます。これには遺伝的な要因、生活習慣、そして女性特有の要因などが含まれます。

遺伝的な要因

祖母や母が骨粗しょう症であると、子どもも骨粗しょう症のリスクが高くなるという報告があります。

生活習慣の影響

長期にわたるカルシウムやビタミンDの不足、運動不足は骨の健康を害し、骨密度を低下させる原因となります。
また、過度のアルコール摂取や喫煙も骨粗しょう症のリスクを高めます。

女性に多い要因

女性は特に閉経後、エストロゲン(女性ホルモン)の急激な低下によって骨密度が減少しやすくなります。これが、骨粗しょう症が女性に多く見られる大きな要因です。
女性は男性に比べて、もともと骨密度が低い傾向があり、骨を失いやすい体質となっています。

病気

関節リウマチ、副甲状腺機能亢進症、糖尿病、慢性腎臓病(CKD)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)といった病気は骨粗しょう症の原因となることがあります。

薬物

ステロイド薬、メトトレキサート、抗てんかん薬等は骨粗しょう症の原因となることがあります。

骨粗しょう症の検査方法

骨粗しょう症の検査には、骨密度の測定、レントゲン撮影、血液検査、尿検査などがあり、複数の検査結果を組み合わせて判断することで、骨粗しょう症を診断します。正確な検査によって現在の骨の健康状態を理解し、適切な治療やケアを計画することが重要となります。

DEXA法(デキサ法)

微量の2種類のX線を照射し、骨と軟部組織の吸収率の差で骨密度を測定する方法です。
腰椎や大腿骨、前腕骨の骨密度を測定することが多く、精度の高い検査法となります。

MD法(エムディ法)

X線を使って、手の骨とアルミニウム板を同時に撮影し、骨とアルミニウム濃度を比べることによって測定します。簡便に検査可能であり、当院で採用している方法です。

超音波検査

足首や踵に超音波を当てて測定する方法です。
スクリーニングとして骨粗しょう症のリスクを評価することができ、検診等で多く使われます。

レントゲン検査

主に脊骨の骨(腰椎や胸椎)のレントゲンを撮影し、既存の骨折があるかどうかを検査します。

血液検査、尿検査

カルシウム(Ca)、リン酸(IP)、ビタミンDの量や、タンパク質やアルブミンの量を検査します。
また骨代謝マーカーといった骨の状態を評価できる因子(NTX、TRACP-5b、BAP、P1NP等)も検査し、最適な治療薬の選択や治療効果判定に役立てます。

骨粗しょう症の治療方法

骨粗しょう症の治療は、骨の量(骨密度)と骨の質の低下を防ぎ、骨折リスクを減少させることを目的とします。

薬物療法

  1. 骨の元となるカルシウムを増やすお薬
  2. 骨吸収(破骨細胞の働き)を抑えるお薬
  3. 骨形成(骨芽細胞の働き)を促すお薬
  4. 骨吸収を抑え、骨形成を促すお薬など

薬物療法では異なる効果を持ったたくさんのお薬があり、八木整形外科では各種検査後にその人にとって一番良いお薬を選んで(組み合わせて)治療します。
それぞれのお薬に関しては骨粗しょう症の予防方法で詳しく説明していきます。

栄養指導

バランスの良い食事を摂取することが治療の第一歩です。特に骨や筋肉の元になるたんぱく質やカルシウム、ビタミンD、ビタミンKの摂取が重要です。ただし、ご高齢の方や、腎臓の機能が悪い方は摂取量に注意する必要があるので医師と相談しながら、食事を楽しみつつ治療を進めていきましょう。

栄養指導

手術療法

骨折が発生し、痛みが残ったり、神経障害(麻痺や膀胱直腸障害)が出現した場合は、手術が必要となることもあります。

生活習慣の見直し

禁煙とアルコールの摂取制限も骨の健康を保つうえで重要です。
安全な生活環境の整備(例:滑りやすい場所の改善、手すりの設置など)も必要です。

骨粗しょう症の予防方法

骨粗しょう症の予防は、日々の生活習慣から始まります。特に大事なことは、健康的な食事、適度な運動、そして生活環境の工夫です。次に、それぞれの項目の具体的なアプローチを解説します。

生活習慣の改善

禁煙

喫煙は骨密度を低下させる要因となるため、禁煙は骨を守るために重要です。

節度あるアルコールの摂取

過度なアルコール摂取も骨の健康にはマイナスです。適度な摂取を心がけましょう。

骨粗しょう症予防に有効な運動

筋力トレーニング

太ももなどの大きな筋力を鍛えることで、骨をサポートし、バランス感覚を高め、転倒のリスクを減少させます。

骨粗しょう症の予防方法

骨粗しょう症の予防方法

運動療法

運動療法

ウォーキング

通常歩行よりやや早歩き程度のウォーキングが重要です。

ウォーキング

骨粗しょう症予防に有効な食事

骨粗しょう症の予防方法

骨粗しょう症の予防方法

カルシウム豊富な食事

牛乳、チーズ、小魚、豆腐など、カルシウムが豊富に含まれる食品を積極的に摂りましょう。

ビタミンD

ビタミンDはカルシウムの吸収を助ける役割があります。上表のような食品を積極的に摂取しましょう。

全体的なバランスのとれた食事

バラエティ豊かな食事が全身の健康を支え、骨の健康にも寄与します。

骨粗しょう症の薬について

骨粗しょう症の治療にはさまざまなお薬を使用します。これらの薬は、骨密度を高め、骨の質を改善し、骨折のリスクを低減させることを目的としています。各薬剤はその作用のメカニズムや効果、副作用が異なるため、患者様の状態やニーズに応じて最適なものを選んで使用します。

骨粗しょう症の治療方法

カルシム製剤(アスパラCA®︎、乳酸カルシム®︎、デノタス®︎など)

カルシウム製剤は不足しているカルシウムを補充、新しい骨を作る作用(骨形成)として働きます。

ビタミンD製剤(エディロール®︎、ワンアルファ®︎、アルファロール®︎など)

ビタミンD製剤は内服することで、腸管からのカルシウムの再吸収を促し、骨形成を促進させます。また筋組織にも作用し、転倒を抑制させるといった効果もあります。

選択的エストロゲン受容体調整薬/SERM(エビスタ®︎、ビビアント®︎など)

SERM製剤は骨のエストロゲン受容体に選択的に作用することで、乳腺や子宮内膜に悪影響を及ぼすことなく、骨密度と骨質を改善させます。

ビスホスホネート製剤

内服 ボナロン®︎、アクトネル®︎、リカルボン®︎、ボノテオ®︎など
注射 ボナロン®︎点滴、リクラスト®︎点滴

ビスホスホネート製剤は骨吸収に働く破骨細胞の働きを抑えることで骨密度を上昇させ、新規骨折の発生を防ぎます。骨粗しょう症治療の薬剤の中で中心的な薬で、内服方法も毎日、週1回、月1回といった種々の方法があり、患者様のライフスタイルに合わせて適切なお薬を提案します。ごく稀に、顎骨壊死(顎骨の骨髄炎)や非定型骨折といった合併症をきたす可能性があり、医師による定期的な診察が重要です。

抗RANKL(ランクル)抗体製剤(プラリア®︎)

半年に一度の皮下注射で強力に骨吸収を抑制し、骨密度を上昇させるお薬です。骨密度上昇効果が高く骨折リスクが高い方に適したお薬です。注射後にカルシウムの濃度が下がることがあり、ビタミンD製剤やカルシウム製剤の併用と定期血液検査が重要です。また途中で急に中断してしまうと「オーバーシュート」といって急速に骨密度が低下する現象が報告されており、定期通院が大切になります。

副甲状腺ホルモン製剤(テリボン®︎、フォルテオ®︎、オスタバロ®︎)

副甲状腺ホルモンは一般に骨吸収を促進させ、骨のカルシウムを血液中に移行させる役割がありますが、副甲状腺ホルモンを間欠的に投与することで、骨形成を促進させることがわかりました。それを利用したのが副甲状腺ホルモン製剤です。骨量(骨密度)だけでなく骨質も改善させることが分かっており、骨折リスクの高い方、またすでに骨折してしまった方に良い適応のある治療薬です。テリボン®︎もフォルテオ®︎も簡単に自分で注射できる製剤で、テリボン®︎は1-2回/週、フォルテオ®︎とオスタバロ®︎は毎日注射します。自己注射に自信のない方は処方したテリボン®︎を持参していただき、当院で注射することも可能です。投与期限はテリボン®︎とフォルテオ®︎は24か月、オスタバロ®︎は18か月と決まっており、投与終了後は他の骨粗しょう症治療薬に変更し治療を継続します。

抗スクレロスチン抗体製剤(イベニティ®︎)

スクレロスチンとは骨細胞から分泌されるタンパク質で、骨芽細胞による骨形成を低下させるとともに、破骨細胞による骨吸収も増加させることに働きます。イベニティ®︎はスクレロスチンの働きを抑えることで骨形成を促進させ、骨吸収も抑制します。2つの働きを持つことで強力に骨の強度を上げることが報告されており、骨折リスクの高い方に適応があります。月に一度の皮下注射製剤で、12か月の投与期限があります。

カルシトニン製剤(エルシトニン®︎)

カルシトニンは骨吸収を抑制し、新規の骨折発生を予防します。その効果は一般に他のお薬弱いと言われていますが、骨粗しょう症に伴う疼痛に効果があることが知られており、鎮痛効果を期待して使うことがあります。

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